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ルクセンブルクの伝統―2月

2月(ルクセンブルク語で“Spierkel”)
2月は、道化師の月と言ってもいいかもしれません。つまり大人もまるで子供のように仮装をして、別のパーソナリティーに変わるのです。2月は、“Fuesend”(カーニバル)という、誰もが日頃憧れているキャラクターの恰好をして、日常から逃れられるという季節なのです。

しかし、このカラフルで楽しいお祭り騒ぎの前に、子供たちは“Liichtmëssdag”(聖燭節)をお祝いします。聖燭節というのは、イエス・キリストが教会に姿を見せたことを祝うキリスト教の祭事です。元々は異教徒の行事で、ケルト文化に伝統的なルーツを持ちます。この類の松明を掲げた行列は、修道士たちが宿舎から蝋燭を手にイエス・キリストに会うために教会に向かったことを反映しているようです。これはまた、四旬節前のホリデーシーズンとして知られるカーニバルの始まりを告げるものでもあります。
伝統的には、子供たちの小さなグループが夕方に、明かりを灯したお手製のランタンを掲げて通りを練り歩き、人々のその年の幸せを祈りながら聖ブレーズの歌、“Léiwer Härgottsblieschen”(歌詞は以下を参照)という古くから伝わる歌を歌います。興味深いことには、ルクセンブルクの子供たちは全員、幼稚園で既にこの歌を習っているのです。

子供たちが家のドアをノックし、歌を歌いお菓子をねだることから、聖燭節の習慣はハロウィンと比較されることがあります。歌と引き換えに、子供たちはご褒美をもらえます。伝統的には「物乞い」がベーコンや豆を恵んでもらっていましたが、近年ではその習慣は変化しています。子供はお菓子が大好きですが、お金でご褒美を受け取ることも嫌がるわけではありません。

上で述べた通り、仮面舞踏会が行われる2月は道化師の月です。カーニバル・サンデーやカーニバル・マンデーを含むこの期間中には、ルクセンブルクのレジャークラブやその他の組織が、大人と子供の両方を対象にした様々な仮面舞踏会やパレード を開催します。パレードは通常、サーカスの催しものを盛り込んでおり、仮面をつけて、ストリート・パーティーを楽しみます。お祭り騒ぎの雰囲気を楽しみながら、子供たちはお菓子をたくさんもらい、大人たちはお酒を楽しみます。
一番重要なパレードは、ディーキルシュ(Diekirch)、シフランジュ(Schifflange)、エッシュ=シュール・アルゼット(Esch/Alzette)およびレーミッヒ(Remich)で行われます。南西部のペタンジュ(Pétange)では、KaGePeとして知られる複数のカーニバル・イベントと、2015年の60周年記念時には約1,200人の参加者と30,000人のもの観客を集めた、最大規模のパレードが開かれます。ルクセンブルク南部のカイル(Kayl)市でも、特に子供向けの道化師パレードが行われます。
レーミッヒ(Remich:モーゼル川沿いのルクセンブルク東部の町)では、3日間続く道化師のお祭りが開かれる他、灰の水曜日に行われる“Stréimännchen”(案山子)を燃やす行事が最も早いことでも知られています。燃やされる案山子は男性の人形で、四旬節前シーズンの終わりと同時に冬の終わりを象徴しています。レーミッヒだけでなく他の都市にも共通する別の行事は、“Buergbrennen”(かがり火)で、カーニバルのお祝いの終わりを告げるものです。

更に多くの「道化師」たちと出会いたいなら、ルクセンブルクのほとんどの都市でそれぞれの仮面舞踏会があります。大勢の“Fuesbooken”(ドレスアップした人々)で特に有名なのは、エヒテルナッは(Echternach:Foas-Fiestaと呼ばれます)、ヴィアンデン(Vianden)、ベルヴォー(Belvaux:Bieles am Jummと呼ばれます)、エッシュ=シュール・アルゼット(Esch/Alzette)、ディッフェルダンジュ(Differdange:物乞いのBal と呼ばれます)およびエスペランジュ(Hesperange:Piccobelloと呼ばれます)の仮面舞踏会です。
カーニバル期間のもう1つの楽しみは、特にこの時期に食べることのできるお菓子です。“Verwurrelter”(ごちゃ混ぜ。結び目を作ったペストリー生地にアイシングシュガーパウダーが散りばめられたお菓子)や“Nonnefäschte”(尼さんのおなら。アイシングシュガーがまぶされたドーナツ)、“Maisercher”(小ネズミ。ネズミの形をしたドーナツ)などは、お馴染みのルクセンブルクのカーニバルのスイーツです。
ルクセンブルクのカーニバルは聖燭節にスタートし、灰の水曜日に案山子が燃やされて終了しますが、その伝統はドイツのように厳密ではありません。つまり、灰の水曜日の後でも開催されているカーニバル・イベントは全国にあり、それらのほとんどは受難節の第4日曜日に終わりを迎えるのです。

以下は、“Léiwer Härgottsblieschen”の歌詞です。

Léiwer Härgottsblieschen,
Gitt ons Speck an Ierbessen
Ee Pond, zwee Pond,
Dat anert Joer da gitt der gesond,
Da gitt der gesond.
Loosst déi jonk Leit liewen
An déi al derniewent.
Kommt der net bal,
D’Féiss ginn ons kal.
Kommt Der net gläich,
Da gi mer op d’Schläich.
Kommt der net geschwënn,
D’Féiss ginn ons dënn.
Kommt Der net gewëss,
Da kritt Der e Schouss voll Nëss.

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