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ボックセメンチェンのお話

ルクセンブルクでは11月上旬から12月にかけて、シンプルな人の形をしたブリオッシュ生地のパン、ボックセメンチェンがパン屋さんで売られています。サイズも様々、何も装飾のないもの、チョコレートやドライフルーツで簡単な飾り付けをするもの、それなりに顔をリアルに作り込むものなど、お店それぞれの特色があります。

その昔、飢饉の際に(肉屋に)食用に殺された3人の子供達を聖二コラが復活させたという伝説があり、「ボックセメンチェン」をこの時期に食べる習慣に発展したのでは、と考えられています。実際、聖二コラの絵本でもこの話は必ず描かれ、毎年良い子達にこのボックセメンチェンを配る事もします。子供達が社会において最も大切でかつ弱い存在である事を思い出させる、との事です。

今回是非本場で食べてみたいと、お昼にルクセンブルク中央駅のOberweis(オーバーヴァイス)で購入。
そのまま電車に乗り、悪い肉屋やホゼカー(聖二コラが連れている黒い従者。子供達からも恐れられる鬼や悪魔のような存在。)の役作り?のつもりで、試しに頭から食べてしまいました。たい焼きを頭から食べるのと違い、少し罪悪感が。。。でも、おいしい!バターやジャムやハムと相性が良いとの事は聞いていたので、何もつけないと味が少し物足りないかもと想像していたのですが、豊醇な香りのブリオッシュ生地とドライフルーツのマリアージュにより、素朴な旨味が口の中一杯に広がりました。

車窓からの緑広がる風景を眺めながら、ボックセメンチェンを味わう。シンプルながら、ルクセンブルクの旅情をこの上なく感じられた極上のランチとなりました。