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【ワイン学 Vol.1】ワインは農産物

【ワイン学 Vol.1】ワインは農産物

この度、LIEFの事務局の方から光栄にもこのような機会を頂きましたので、「ワイン学」と題し、ワイン、あるいはお酒にあまり馴染みのない方にも、面白くお読み頂ける記事を投稿していきたいと思います。どうぞ宜しくお願いします!

突然ですが、
皆さまは、お酒を飲みますか?
いつ、どこで、どんなお酒を飲みますか?
ワインにご興味はありますか?

日本のワイン飲用量は、まだ国民一人当たり3リットルにも達していない状況ですが、食生活の洋風化をはじめとする多様化が進んでいます。ワインの消費量は、ビール、発泡酒など他の酒類に比べてまだまだ少ないのですが、堅実な裾野の広がりを続けています。

フランス、イタリアをはじめヨーロッパ諸国で、ワインの飲み方に変化が起きていることはご存知でしょうか。消費者の関心は、量から質へとシフトしています。平日は(あまり)飲まず、週末にちょっと良いワインを大切な人と楽しむようになったのです。この変化の原因として、飲酒運転の取り締まり強化など、様々な社会的要因が挙げられるのですが、また別の機会に触れることにします。

日本でも、消費者がワインを選ぶ際の優先順位が変化していると感じます。
ワインを飲む経験を重ねるにつれて日本の消費者はコストパフォーマンスに一層シビアになり、好みのワインを、自分軸を基準にして選べるようになったのです。探求心旺盛な消費者が“自分の好みのワインを探す楽しさに気付いた”とも言えるかもしれません。

ルクセンブルクに勤務していた際、La Cave des Sommeliersの代表パスカルとベルギー最優秀ソムリエのアリスティドと共に、南フランスの都市アヴィニョンで開催された「Découvertes en Vallée du Rhône / ヴァレ・デュ・ローヌで発見」というワインの見本市に行きました。ルクセンブルクに北上しながら南フランス・北部ローヌ地方の銘醸地コート・ロティの生産者を訪れた際、もうすぐ引退という生産者がたまたま口にした一言が今でも忘れられません。

“Avant tout, je suis vigneron. Je suis heureux d’être vigeron.
「何よりもまず私はヴィニュロン(ワイン生産者)だ。ヴィニュロンでいられて幸せだよ。」

私にとって、とても印象深い一言です。
ワインは農産物です。生産者の想いが詰まっています。
感覚としては、道の駅で売られている丹精込めて作られた野菜に似ているかもしれません。
生産者はどんな想いで作ったのか、少しだけ思いを馳せてみてください。
きっと、さらに美味しく感じられますよ。

ワインを楽しむのに必要な知識などありません。
高価なワインである必要ももちろんありません。
飲んで、美味しければ美味しい。好みでなければ次回は別の銘柄を試してみる。
シンプルで良いのです。
好きな人と、リラックスして、楽しく飲むことが出来れば、それは良いワインになります。

「ワイン学」を通じて、一人でも多くの方にワインに興味を持って頂けますことを願っています!