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「人」コラム ‐ ルクセンブルクの横顔 第31回:クリスティーナ・ホーゲンさん(Ms. Christina Hoegen) ― 後編

ある国を語る時、歴史や文化、生活風習に加え、その国の人々は欠かせないファクターでしょう。人との交流は、国の印象にも大きく左右しますし、人を知ることで、その国への理解も一層深まります。このコラムは日本とルクセンブルク、双方につながりの深い方々を順次ご紹介していきます。
今回も、慶応大学への交換留学の後、今年7月に再来日し、日本語を勉強中のクリスティーナ・ホーゲンさんのお話を伺います。

事務局(以下、Q): さて、12歳から日本語の勉強を独学で始め、日本の文化にも造詣の深いクリスティーナさんですが、実際に日本で暮らしてみて、困ったこと、不便なこと、嫌だったことはありませんか?
クリスティーナ(以下、C):そうですね・・・。よく、アメリカ人ですか?って、聞かれます(笑)。まあ、冗談はさておき、日本人と外国人の間に透明な膜があるようで、いつまでたっても外国人のお客様で、日本の文化に完全に受け入れられることは無理なのかな、と感じることがありますね。
Q:うーん。確かに。日本に嫁いで、何十年も和服で過ごされたドイツ出身の方が、結局は完全に日本に溶け込むことはかなわなかった、と仰っていたと聞いたことがあります。食生活はいかがですか?
C:和食が大好きですが、外食の時に困ります。
Q:というのは?
C:実は、私、食物アレルギーがあって。お料理に使っている素材をメニューに載せているレストランが本当に少ないので、注文する時に困りますね。「大戸屋」はメニューに素材が記載されているので助かりますが、昔ながらのお店に至っては皆無です。発作を起こすのは避けたいので、何が入っているのかシツコク聞きます(笑)。
Q:あら、それは大変ですね。差し支えなければ何のアレルギーか教えてくださいますか?
C:乳製品と小麦です。残念ながら、たこ焼きやうどんは食べられません。
Q:豆乳は?
C:豆乳は大丈夫です。私の食生活は野菜、肉、魚、そしてお米がメインです。
Q:欧州の食事は基本的には乳製品と小麦のオンパレードですよね・・・。ルクセンブルクにいたときはどうされていたのですか?
C:父が常に中華やタイ、ベトナムなどのアジアンフードを料理してくれました。
Q:なるほど。お好きな日本食は?
C:海鮮丼、親子丼。それから焼き鳥も大好きです。焼き鳥を食べたくて居酒屋さんによく行きます。
Q:その他に困ったことは?
C:残念なのは、温泉とかプールに入れないことですね。タトゥーを入れているので。
Q:パッチで隠して入るというのはダメなのかしら?
C:隠れないほど大きいのです。綺麗な紫陽花と鶴なのですが。

Q:和柄ですか?
C:そうです。とても気に入っているので、温泉に入れないのは我慢ですね。タトゥーOKの「外国人専用」の施設があると聞きましたけれど、「うーん、日本なのに日本人が誰もいない温泉って・・・」という感じで(笑)。
Q:タトゥーに関しては日本のアンダーグラウンド世界との関わりという背景があるため、規制の対象になっていますね。日本の若者もファッションとしてタトゥーを捉えたり、多くの外国人の方がいらっしゃったりすることもあって緩和が検討されているようですけれど。
C:いつかタトゥーOKになると嬉しいです。
Q:クリスティーナさんが日本で感心したことはありますか?
C:はい、沢山あります。日本人はとても我慢強いですよね。ヨーロッパの人達は一般的に言って、とても我儘というか、日本人ほど忍耐強くないと思います。そして他の人の持ち物に対して敬意を払うこと。自転車が盗まれることもまずないでしょう?これは驚異的です。私がヨーロッパにいた時、トイレで手を洗うために指輪を外した後、たった2分の間に指輪を盗まれてしまったことがあるのですけれど、日本では起こりえないと思います。
Q:たったの2分!確かに、ヨーロッパに行くと緊張が続きますね。スリとか置き引きとかのカモにならないように・・・。日本ほど無防備にはいられない。
C:その通りです。それから、日本のカスタマーサービスも素晴らしい。店員さんの手際の良さ、勤勉さ。ヨーロッパでは店員同士とか、知人とかとのお喋りに興じて、並んでいるお客を待たせてもまったく平気な店員さんが良くいるのですけれど。
Q:ああ、分かります。
C:日本で買い物をする時にいつも感心するのは商品をとても大事に扱うこと。すごくデリカシーがありますよね。接客も丁寧で、きれいにラッピングしてくれたり、ごく普通の日用品のお店、例えばドラッグストアでもサニタリー用品は外から見えない黒のバッグに別途入れてくれたり。気配りや慎ましやかさが定着している文化は素晴らしいと思います。
Q:ありがとうございます。そういっていただけると嬉しいです。私自身は、日本のお店のラッピングに関しては、これってToo much、やりすぎなのでは?と思うことがありますけれど。
C:良し悪しって面は確かにありますね。私はちょっと奇抜な、エクストリームファッションが好きなのですが、日本のモデレートな人達の中では、私の服装は「浮いちゃう」(笑)。
Q:あはは(笑)。まあ、場所にも依ると思いますけれど。話は変わりますが、学生ビザは1年間ですか?
C:そうです。
Q:そうすると、来年の7月までは日本に滞在できますよね。今は勉強に忙しいでしょうけれど、訪れてみたい場所はありますか?
C:そうですね。伊豆長岡を再訪したいですね。自然がいっぱいで、海も森もあって。
Q:綺麗なところですよね。日本人がルクセンブルクを訪れた際のオススメの場所は?
C:ミュラター(Müllertal)です。森の中をハイキングして頂きたいです。
Q:ハイキングはルクセンブルクの人達にとって切り離せないものなのですね。もっとお話を伺いたいのですが、そろそろ時間になってきました。最後にLIEFの読者の方々にメッセージをいただけますか?
C:はい。ルクセンブルクは、他に比べようがないとてもユニークな国で、ルクセンブルクならでは独自の文化があります。是非、皆さんに来て頂きたいです。まあ、小さな国なので、ドライブでスピードを出し過ぎないようにしていただきたいです。あっと言う間に通り過ぎてしまいますから(笑)。
Q:ちょっと走ると国境ですものね(笑)。今日は本当にありがとうございました。
C:こちらこそ、ありがとうございました。

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クリスティーナさんの毎日は、忙しいながらも日本や日本の文化、そして日本人との触れ合いの中での刺激(と考察)に富んでいることがお話を伺って良く分かりました。勉強が一段落したら、日本での職業体験(学生ビザは週28時間の就労が許可されているそうです。お酒を出す場所での就労は禁止ですが)にも是非、チャレンジしてほしいと思います。きっと職場の人気者になるでしょうから。 (文責:事務局)

「人」コラム ‐ ルクセンブルクの横顔 第31回:クリスティーナ・ホーゲンさん(Ms. Christina Hoegen) ― 後編