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テレサに会いたい! 『多田恋』聖地巡礼@ルクセンブルク

東京に住んでいると、家の近所がアニメの舞台なんてことはよくある話だ。でもまさかヨーロッパで、しかも「ルクセンブルク?どこ?ドイツ?」なんて言われる小さい国で、そんな奇跡が起こるなんて夢にも思わなかった。

多田くんは恋をしない』──写真家志望の高校生・多田光良と異国からの留学生テレサのラブストーリーだ。見逃せないのは、このヒロインの出身国が「ラルセンブルク」だということ。名前もルクセンブルクっぽいし、多田くんの物知りな“じっちゃん”曰く「ヨーロッパにある小さな国で、緑と渓谷が美しい国」らしい。

疑惑が確信に変わるのは物語終盤の12話。予告で見覚えのあるルクセンブルクの風景が出てくる出てくる。これは、テレサに会いに行かなくては。

まず向かったのは憲法広場。空港から市内に向かった多田くんが最初に訪ねた場所だ。

夏には全話放送終了していたにもかかわらず、舞台探訪を12月にしたのには理由がある。そう、クリスマスマーケットだ(9月の日本帰国時に一気観したからという事情もちょっとある)。

この時期ルクセンブルクでは、市内数カ所でクリスマスマーケットが開催されている。多田くんが来たのも12月だったようで、作中にはマーケットの様子がちらほら登場するのだ。憲法広場も、その会場のひとつだ。

赤い服の彼も、グリューワインの隣でルクセンブルクの旗を振る。

作中にも登場したガラスボールのキャンドルホルダー。

作中には登場しなかったグロンペルキッシェルシャー(でも好きなので載せる)。ジャガイモとハーブのフリッター。ドイツ、フランス、スイス、ときには北欧まで、さまざまな国の料理が屋台に並ぶなか「ルクセンブルクらしい食べ物」と言えばこれ。

ちょっとお腹も膨れたところで、次に向かった先は大公宮殿。作中にも登場したテレサ家だ。

あいにく正面は工事中。多田くんが何度声をかけても無言だった衛兵さんたちもいなかった。

後ろに回ってみる(あれ、後ろの衛兵さん話してる?!)

大公宮殿に来たら忘れず寄るべきなのが、向かいにあるチョコレートハウス。多田恋でテレサがお土産としてもってきたチョコレートスプーンがあるお店だ。

一歩足を踏み入れれば、チョコレートの甘い匂いに包まれる。

写真を撮っていいか聞いたら「1枚5ユーロね!」と冗談で返された。ルクセンブルクでロケハンをしていた監督たちが「街の人たちがとても親切で、テレサのやさしくおだやかな性格とマッチした」とイベントで話していたが、たしかにこの街の人たちは観光客にもフレンドリーで温かい。

件のチョコレートスプーン。抹茶やシナモン、キャラメルソルト、ストロベリー、ラテマキアート……

なかには「ワサビ味」まで。いったいどんな味なんだろう。

2階はイートインスペースになっていて、もちろんチョコスプーンも試せる。上段が飲み方、下段がスプーンの種類。組み合わせの多さに圧倒される。

大公宮殿から数分歩くと、ボックの砲台にたどり着く。多田くんの友達、伊集院くんが観光していた洞窟のような場所もここだ。ここから坂を降りてグルンド地区へ。

ルクセンブルクは城壁と渓谷に囲まれた城郭都市。その一番下、谷底に当たるのがこのエリアだ。真ん中を流れるのはアルゼット川。テレサが小さい時溺れそうになった川のモデルだそう。

新市街はお店や企業が集まって賑やかなのに対し、このあたりは人通りも少なく静かだ。何時間でも散策したくなる。

アルゼット川に掛かった橋の間から。こうして歩いていると、テレサの小さいときの遊び場をのぞき見しているよう。

アニメの聖地巡礼で面白いのは、景色の見方が変わるところだ。普段は上から眺めるだけのアルゼット川は「テレサの遊び場」になり、チョコレートハウスのチョコスプーンも「ラルセンブルク名物」に早変わりする。ただの観光も、舞台探訪マップ一つでちょっとしたゲームに変わる。

そんな全く新しい視点をつくってしまうアニメの作り手たちの技量には、いつだって唸らされてしまうのだ。

「人」コラムールクセンブルクの横顔 特別篇(7):センス・オブ・ジャパン マネージング・ディレクター 林 治美さん (Ms. Harumi Hayashi)