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「人」コラム ‐ ルクセンブルクの横顔 第42回:根本めぐみさん(Ms.Megumi Nemoto) ― 後編

ある国を語る時、歴史や文化、生活風習に加え、その国の人々は欠かせないファクターでしょう。人との交流は、国の印象にも大きく左右しますし、人を知ることで、その国への理解も一層深まります。このコラムは日本とルクセンブルク、双方につながりの深い方々を順次ご紹介していきます。
今回も、2018年9月から2019年6月まで交換留学生としてルクセンブルク大学で学んだ根本めぐみさん(Ms.Megumi Nemoto)のお話を伺っていきます。

事務局(以下、Q):さて、ルクセンブルク滞在時のインターンシップについて、もう少しお話を聞きたいのですが。
根本(以下、N):bitFlyer EUROPE S.A.という、仮想通貨・ブロックチェーン企業の欧州拠点企業にて約3ヶ月勤務させて頂きました。上智大学のルクセンブルクオフィスの方からのご紹介でこのような機会をいただきました。ルクセンブルクは日本人が少ないので、繋がりが密で、本当に色々と助けていただき、よい機会を与えていただきました。とてもありがたかったです。それから、ルクセンブルク経済省の東京貿易投資事務所(LTIO)がICT Springに日本のIT企業の方々をお連れした際にも2日間インターン生としてお手伝いせていただきました。コンファレンスの後のプログラムの一環でモーゼル川流域のワイナリーを訪ねた時もご一緒させていただき、とても良い経験となりました。
Q:LTIOでは帰国後もインターンをされたのですよね。
N: はい。大学の残りの単位も取得しなければならなかったですし、卒業論文や資格試験の勉強などもありましたので週1回でしたけれど、沢山の事務的な部分を学ぶことができて本当に勉強になりました。
Q:事務的?
N:ルクセンブルクに留学していた際は、自分の専攻分野や語学、文化、歴史を学んできましたが、インターンのお仕事では、企業研究や欧州に進出している日本のスタートアップ企業の情報を調べたり、ルクセンブルクのビジネスや経済の最新情報を翻訳することで、より実践的な知識を得ることができました。ビジネスの動きを肌で感じられましたね。
Q:そういった経験は、今後のお仕事にとても役立つと思いますよ。
N:ありがとうございます。とても勉強になりました。
Q:話は変わりますが、ルクセンブルクでのお住まいは?寮ですか?
N: はい。通っていたベルバルキャンパスの近くに借りました。エッシュ駅近くの立地で、キャンパスまでバスで10分くらいでした。寮はあちこちに点在していて、色々なタイプがあるのですが、私が借りたのは一人部屋です。シャワー・トイレ、机、ベッドは専有で、キッチン、冷蔵庫、洗濯機は共有です。ひとつのユニットを5人でシェアするシステムで、私のシェアメイトの出身地はアメリカ、イタリア、インド、アルゼンチン、ウクライナでした。
Q:やっぱり国際色豊かですね。ユニット数は多かったのですか?
N:私の寮は7ユニットでしたね。
Q:キッチンがあるということは、自炊していた?
N:はい。
Q:物価はどうでした?
N:外食はたしかに高いなと思いましたが、日常生活ではあまり感じませんでした。パンやチーズは美味しくて日本に比べて安かったです。ルクセンブルクのソーセージも大好きです。
Q: ほかにお気に入りのルクセンブルク料理ありますか?
N:グロンベルキッシェルシャー(Gromperekichelcher)ですね!クリスマスマーケットで初めて食べて、それから大好きになりました!
Q:ジャガイモの!確かに揚げたてのホクホク感、たまらないですよね。ルクセンブルク人のソウルフードと言えるかもしれませんね。クリスマスマーケットは楽しいですよね。私は移動遊園地も好きです。
N: ルクセンブルクに着いて直ぐに、移動遊園地にも行きました!
Q:あ、開催期間に間に合ったのですね!それは良かった。
N:他にも滞在中はルクセンブルクのことを沢山吸収するために様々なところに行きました。
Q:例えば?
N: エシュテルナッハに行って、踊りの行進(ダンシング・プロセッション)を直接見物したり、ヴィアンデン城にも足を運びました。
Q:踊りの行進はユネスコの無形文化遺産ですよね。私は残念ながらパリシカ(聖堂)の展示映像でしかみていないのです。
N:歴史ある催しでとても興味深かったです。ヴィアンデン城も素敵でした。それからクレルボーにも行きました。
Q:もしかして、「ファミリー・オブ・マン(The Family of Man)」の常設展?
N:はい。
Q:わあ、私の大好きな場所です。あの写真展は何度行っても見飽きないですね。南のほうは?
N:先ほどお話がでたICT Springでワイナリーを訪ねたり、シェンゲンも訪問しました。
Q:見聞を広めることを実行されたのですね。ルクセンブルクで暮らして、困ったことはありませんでしたか?
N:そうですね、友達といる時に言語がコロコロ変わることに最初は戸惑いました。英語で話していたのに、別の子が来たら、その子と別の言語で突如話したりするのでついていくのがとても大変でした。
Q:ちょっとした疎外感かな。
N:疎外感というより、話が混在しているような状況でした。
Q:カルチャーショックは?
N:いっぱいありました。私はどちらかというと引っ込み思案でついつい引いてしまいがちだったのですが、周りの人達は皆、積極的にアピールして、すごくアクティブだな、と感じました。言語も英語のみの私に比べて、5,6か国語を操るし、意見もはっきり言いますし、最初は驚きの連続でした。
Q:意見を言うことについて忖度はないですよね。ここが日本人との大きな違いかな。
N:ルクセンブルクの人達は仲良くなるまで時間がかかるのですけれど、一旦、仲良くなると、ぱっと垣根を飛び越える方が多かったです。また、議論が大好きです。講義形式の授業の際もわからないことがあるとすぐに手を挙げて質問するのが普通で、積極性がありとても良い刺激を受けました。
Q:根本さんも意見をドシトシ言うようになりましたか?
N:少しは。でも、やはりそんなにドラスチックには変われないです。授業でプレゼンテーションをしなくてはならない時はストレスでしたし。私がルクセンブルクでの生活を通じて一番変わったな、と自分で思うことは「計画力」がついたことだと思います。
Q:「計画力」ですか?
N:日本にいた時以上に事前に計画してから行動できるようになりました。日本にいた時には、無意識によく考えずに行動しても物事はスムーズに動くことが多いと思うのですが、ルクセンブルクではそうはいかなくて。事務的な手続き、大学の授業履修などにおいて、定休日や不在日、その人の気分に影響される部分があるルクセンブルクでは1つ1つがスムーズにいかず大変でした。
Q:ああ、確かに。ほとんどのお店が週末はクローズしていますね。
N:ええ。土日にお店が開いていないのは最初びっくりしました。買い物以外でも、パッと行って直ぐに窓口で対応してくれるとは限りませんし。前もって調べて期日に合わせて行動しなければなりませんでした。旅行にしても、大学の課題にしても、事前にきちんと調べてから時間に余裕をもって行動できるようになりました。
Q:それは素晴らしい収穫ですね。「計画力」は「対応力」とも言えますね。日本で暮らしていると「便利さ」が当たり前のことになってしまいがちですけれど、世界基準でみると稀有なことですよね。コンビニや宅配便のサービスは海外、特にヨーロッパの友人たちから「アメージング!アンビリバボー!」とよく言われます(笑)。
N:たしかにそうですね!(笑)。
Q:まだまだお話を伺いたいのですが、そろそろ終わりの時間が近づいてきました。最後に根本さんからこのコラムを読んでくださっている皆さんへのメッセージをお願いします。
N:ルクセンブルクは自分が抱いていたイメージを良い意味で裏切ってくれる場所です。行ってから気付かされる事が多いです。事象に限らず、物事の考え方という面においても。是非、実際に訪問して、ご自分にとっての新しいルクセンブルクに邂逅してください。
Q:私たちひとりひとりにとってのルクセンブルクが広がると良いですね!今日はありがとうございました。
N:こちらこそ、ありがとうございました。

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学業の傍ら、インターンシップでの就労体験や観光、そして日常生活を通じて俯瞰で物を見る、計画的に行動する習慣を身に着けていった根本さん。異文化に身を置いてみることの価値が端的に表れた例だと思います。新しく始まった社会人としての生活にルクセンブルクでの経験をフルに活かしていただくことを期待しています。 (文責:事務局)