sightseeing

洋服マニア、集まれぇぇ。。。。

公の面前でファッションに関するを語る事には個人的に抵抗を感じるのですが、、、、ルクセンブルクの中心部のトレンディなバーが集まるエリアに、とても個性的な紳士服店を発見したので、ここに小声でご紹介させていただきます。

そのお店 [BASIC & BEPOKE_the chap]は、全くトレンディーではありません。ショーウィンドウには英国物とおぼしきコートや靴が飾ってあり、あまり明るいとは言えない店内に続くドアを開けるにはそれなりの理由が必要かもしれません。私はたまたま通りがかり、夜ご飯までの時間潰しのつもりでお店に入りました。しかしその私の判断は過ちであったことは数分で判明しました。

まず目に付いたのは、棚一杯の紳士服にまつわる辞典のような書籍群と、店内のいたるところに掲げてある古今のお洒落な偉人達の写真。例えば、セーターであればウッディ・アレン、Tシャツのコーナーにはマーロン・ブランドといった具合です。最近の人で唯一写真があったのはデビット・ベッカム。後で店主から聞いた話では、欧州を中心に世界中から「本物(オリジナル)」だけがあつめられているとの事で、フランスからは、ピカソの写真とともに飾られている非常に良質なバスクシャツ、LVMHグループ買収前のアルニスのジャケット、イギリスからはエリッククラプトンがオーナーのCordingsのシャツやマッキントッシュ、グレンフェルのスカイブルーのドライビングブルゾン(1930年代の世界で最初のブルゾンの復刻だそう。スカイブルーという個性的な色だけの取り扱いというのがこだわりです。)、アメリカからはコインローファーやブルックスブラザーズなど、書ききれないほど店主の口から一つ一つの洋服に関する薀蓄があふれ出てきます。例えば白いシャツを手にとると、それはフィアットの元会長、故ジャンニ・アニェッリ氏が着ていた白い手縫い仕上げのカプリシャツのレプリカだ!といった具合です。

さらに詳しく話を聞いてみると、店主のPascalさんは柔道家として試合のために何度も日本を訪れた事もある大の親日家。1時間近くに渡って様々な薀蓄を聞かせていただき、幸せな時間を過ごさせていただきました。2階はビスポークサロンになっているとのことで、ここでも英国の良質な生地でスーツや各種オーダー品を作れるとの事。地元の名士に愛されている紳士服店とお見受けました。日本のメンズファッション本が欲しいとのことなので、今度いつかお土産に持って行きたいと思います。

洋服に関しては、日本で売っていない物を探すのは難しい大変な時代ですが、このお店には間違いなく日本でみかけない伝統的な本物が沢山あります。本物に対する憧憬は狂気すら感じさせ、紳士服店というより民芸品店といったほうがしっくりくるかもしれません。世界中同じようなトレンドを追うお店ばかりで飽きてしまった洋服マニアの方には、是非ルクセンブルク観光のついでにお立ち寄りいただきたい名店です。KAALE KAFFIというカフェも近くで経営されているようで、そちらは日中若いお客さんで一杯でした。

[ショップHP]
http://basics.lu/store.html