明治・大正の頃に盛んに使われた“上等舶来“という言葉。外国の高級品を有難がる意だけでなく、たまたま手に入れた外国の日用品、チョコレートやリボンや石鹸などの価格の安い物の舶来品の中に、まだ見ぬ外国の生活を夢見、想像力が刺激され、憧れが喚起されるような”素晴らしさ“が含まれている、といった意もあったようです。(参照:鹿島茂「クロワッサンとベレー帽 ふらんすモノ語り」)
個人的にも大いに思い当たる節があり、一般的に家庭などで使用されている、ありは使用していた生活に密着した品々(民芸品などもこの部類だと思っています)に、より異国情緒を感じるという事は、多くの方がも経験あるのではと思います。
例えば、欧州の伝統ある都市の市街中心部を歩くと、必ずと言っていいほど時代の流れとは一切無縁な洋品店が見つかります。そこで売られているのは、おじいちゃんやおばあちゃんが且つて来ていたような、ファッションとは無縁の、でも作りのしっかりした品々。まさしく“上等舶来”な品々です。
そういうお店はお土産探しの主戦場になり得るのですが、洋服などはサイズが妙に大きかったり、足や袖が長すぎたりで、なかなか二の足を踏んでしまいます。
そこで個人的にお薦めなのが、例えば白いハンカチ。高品質なスイスコットンやリネンなどで織られたハンカチが、安くはないですが買えなくもない値段で売られていたりします。ただの白いハンカチが、使うたびに欧州滞在の幸せな思い出、風情を感じられる逸品になり得るという点で、自分への、友人の方へのお土産にもお勧めです。
しかし、「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」もまた現実です。写真のルクセンブルク市内旧市街オーバーバイス近くのお店は、せっかく見つけたのに残念ながら昨年末閉店セールを行っていました。外観から察するに、1903年からお店あったのでしょう。時代の流れではありますが、他にもこういったお店は目立たないだけで絶対あるはず!ですので、ルクセンブルク滞在中にお時間ある方は是非探してみて下さい。