ある国を語る時、歴史や文化、生活風習に加え、その国の人々は欠かせないファクターでしょう。人との交流は、国の印象にも大きく左右しますし、人を知ることで、その国への理解も一層深まります。このコラムは日本とルクセンブルク、双方につながりの深い方々を順次ご紹介していきます。
今回も、今年7月から日本に暮らしているマーク・シェーファーさんのお話を伺います。語学留学で日本に来る前のルクセンブルクでの生活と日本での生活に違いはあったのでしょうか。
事務局(以下、Q): マークさんの日本での生活は「日本語の勉強」中心に回っていることが良くわかりましたが、来日前のルクセンブルクでの生活について、ちょっと教えていただけますか?ルクセンブルクでも一人暮らしだったのですか?
マーク(以下、M):両親と一緒でした。あと、犬も。名前はエースです。
Q:エース?もしかしたら・・・。
M:はい、「ワンピース」のエースから。今は両親が僕の代わりに面倒をみてくれています。
Q:それは安心ですね。
M:はい。ですが、犬の世話があるので両親が日本に遊びに来るのは難しいかもしれません。まあ、母は飛行機が苦手なので、エースがいなくても来なかったでしょうが、父は日本に興味があるそうなので、ちょっと申し訳ないです。
Q:ルクセンブルクでマークさんが7年間務めていたカナダのボトルメーカー、ハスキー(HUSKY)ではナイトシフト、夜勤もあったとのことでしたが。
M:はい。そうです。勤務はモーニングシフトが2~3日、アフタヌーンシフトが2日、そしてナイトシフトが1~3日で、シフトの間に2日または4日の休みが入る、というルーティンでした。
Q:それはかなりタイトですね。では、余暇に興じる時間はあまりなかった?
M:そうですね。でも、バンド活動をしていました。
Q:バンド?ロックですか?
M:はい。メタルロックです。
Q:担当は?
M:ギターです。13歳からギターを始めました。インターネットでメンバーを募集していたバンドに18歳の時に参加しました。
Q:ということは、バンドのメンバーは以前から知り合いではなく、ネットを通じて知り合ったわけですね。日本語学校もそうですが、マークさんはネットで情報をゲットすることが多いのですね。
M:そうかもしれません。でも、きっと他の皆さんもネットを活用されていると思います。
Q:たしかにそうですね。
M:メンバーの皆とはとても仲良くなりまして、色々なことを一緒にしました。バンドは5年くらい続いたかな。メンバーが結婚したり、就職したりで解散してしまいましたけれど、今も良い友人として付き合いが続いています。
Q:それは素敵ですね。
M:そういえば、8月は語学学校が夏休みだったのですが、ルクセンブルクから友達が遊びに来てくれて、すごく楽しい時間を過ごしました。一緒にお寿司を食べに行ったり、温泉にいったりして。
Q:温泉ですか?
M:はい、お台場ですが。
Q:お友達は「裸の付き合い」にカルチャーショックはなかった?
M:大丈夫です。彼は前にも日本に来たことがあって、日本のカルチャーには詳しいので。
Q:ああ、日本通のお友達なのですね。ルクセンブルクの人達の間で日本についての情報は割に知られているのですか?
M:そう思います。興味があったら、すぐ日本について調べることができますから。実体験で日本を知ることはちょっと別かもしれませんが、情報としてはアクセスしやすいと思います。
Q:マークさんは今、まさしく実体験をしている。
M:はい。とても良い体験をしていると思います。
Q:それは何よりです。日本の人達もルクセンブルクについてネットで検索することは多いと思いますが、直接的な現地の情報はやっぱりありがたいです。日本の観光客がルクセンブルクに行ったときのお薦めの場所はありますか?
M:そうですね、ルクセンブルクの東側、ドイツの近くのミュラダー(Mëllerdall)はとても綺麗ですよ。森に囲まれていて、ハイキングが楽しめる道も沢山あって。「小スイス」とも呼ばれています。
Q:そうですか。郊外に足を運んで森をハイキングするのも素敵な余暇の過ごし方ですものね。ルクセンブルクは小さな国なので、公共交通機関を使っても市内から小一時間くらいで到着できますしね。もっとお話を伺いたいのですが、そろそろ時間になってしまいました。日本語学校は1年間ですか?
M:はい、来年の6月まで。
Q:その後は?ルクセンブルクにお戻りになるの?
M:正直、まだわかりません。
Q:将来、こうしたいとかは?
M:将来、自分が何をするかも、まだわかりません。来るべき時がきたら、決めようと思っています。来るべき時に決まる、という方が正しいかもしれませんね。
Q:そうか、今はリセットしている時期で、リスタートは未定、ということですね。
M:はい、色々と経験して、よく考えて将来の方向性を決めたいと思います。
Q:なるほど。日本での滞在がマークさんの今後のライフプランに寄与できることを願っています。今日はありがとうございました。
M:こちらこそ、どうもありがとうございました。
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日本語の猛勉強の傍ら、お友達と居酒屋に行ったり、ガールフレンドとデイトしたり、大好きな漫画を読んだり、と東京での生活をエンジョイしているマークさん。ルクセンブルクでの生活を伺って、時間の使い方が上手な人なのだな、と感じました。将来、どこに住んで、どんなことを始めるのか、とても楽しみです (文責:事務局)