ある国を語る時、歴史や文化、生活風習に加え、その国の人々は水代 優さん欠かせないファクターでしょう。人との交流は、国の印象にも大きく左右しますし、人を知ることで、その国への理解も一層深まります。このコラムは日本とルクセンブルク、双方につながりの深い方々を順次ご紹介していきます。
昨年のアンリ大公殿下の国賓としての来日期間に期間限定で日本橋・浜町のHAMA HOUSEにオープンし大好評を博したルクセンブルク政府公認「Luxembourg Café(ルクセンブルク・カフェ)」。今年、11月12日(月)から22日(木)までのリターンズ開催が決定しました。(http://lief-lux.com/gastronomy/luxembourg_cafe_returns/)会場の全国各地で「街」の各種プロモーションを手掛ける「街のプロモーター」でありHAMA HOUSEを運営するgood mornings株式会社 代表取締役の水代 優さんに、ご自身のルクセンブルクとのかかわりや今年の「Luxembourg Café」のおすすめについて、お話を伺ってきました。
事務局(以下、Q):こんにちは。昨年のLuxembourg CaféやLIEFのOFF会をはじめ、いつも本当にお世話になっております。今日はお忙しい中、お時間をとっていただきありがとうございます。
水代(以下、M):こんにちは。こちらこそ、いつもお世話になっています。折角ですから、今日はHAMA HOUSEで、ゆっくりしていってくださいね。
Q:ありがとうございます。今年もHAMA HOUSEでルクセンブルク・カフェが開かれると聞いて、これは、“仕掛け人”の水代さんのお話を伺わなければ!と勇んでやってきました(笑)。
M:はい、11月12日(月)から22日(木)までの期間限定で行います。ルクセンブルクの味を楽しめるカフェの営業はもちろんですが、ワインや旅をテーマにしたスペシャルイベントを通じてルクセンブルクの魅力を東京で存分にご体感いただきたいと思っています。(http://hamacho.jp/hamahouse/luxembourg/)。
Q:今から楽しみです。改めて、水代さんとルクセンブルクの関わりを教えていただけますか?ルクセンブルクをフィーチャーするきっかけは何だったのですか?
M:最初の出会いは2007年、ちょうど、現在、ルクセンブルク大使館が入っているルクセンブルクハウスが完成した頃だったくらいだったと思います。その頃、僕は東京・丸の内で三菱地所さんたちと「コミュニティ作り」に取り組んでおりまして、その一環として「丸の内カフェ 倶楽部21号館」の運営をしていました。
Q:水代さんがIDEEさんで新規出店を手掛けていた頃ですね。
M:そうです。既にベルギー関連のお仕事をいくつかさせていただいていて、ベルギー大使館での催しでルクセンブルク大使館の皆様と知り合って、ルクセンブルクという国に非常に興味を持ったことがキッカケですね。コミュニティ作りや人の繋がりを促進していく時は、ニッチなテーマのほうが仲良くなれるのですよね。
Q:まさに当時のルクセンブルクは(もしかすると今も)、かなり「ニッチ」ですよね(笑)。
M:例えばGDPに代表されるルクセンブルクの生産性の高さや多言語カルチャー、それから進取の気性というのかな、例えば今は宇宙資源の開発に国を挙げて取り組んでいますよね、国としてのフレキシビリティにすごく惹かれました。自然や街の景観も美しいし、美食の国でもあるという・・・。それで、この小さいながらも魅力的な国をもっと紹介したいと思いまして、以来、約10年にわたって東京・丸の内などでルクセンブルクの魅力を伝えるイベントなどを手掛けました。
Q:では、その頃からルクセンブルクに足を運んで?
M:いいえ、実は初めてルクセンブルクを訪問したのは2017年の夏です。ヨーロッパは、毎年訪れ、ブリュッセルには何度も行っていたのですが、ルクセンブルクに行く機会がなかなか無くて。2017年にHAMA HOUSEでLuxembourg Caféの開催が決定し、お客様をしっかりお迎えするには、僕自身がルクセンブルクを体験して、より良く知らなければ、と準備のためにルクセンブルクに1週間弱滞在しました。HAMA HOUSEでご提供しているカフェメニューの食材は、すべて僕自身が生産者さんにお会いしています。Luxembourg Caféでもルクセンブルクのメニューをお出しするからには、自分が「地元の味」をちゃんと知らなければなりませんし、色々な方とお会いしてルクセンブルクに対する理解を深めたかった。北から南まで、クレルボーとか、シェンゲンのアンリ・ルパートのワイナリーとか、あちこち回って、政府の方をはじめ沢山の方にお会いして。
Q:初めてのルクセンブルクはいかがでしたか?
M:いや、もう、衝撃的でした。
Q:え?衝撃的?
M:はい、ポジティブな意味で。「ヨーロッパに安心があった!」と。ヨーロッパには何度もいっていますが、こんなに安心できる安全な場所は初めて。ある意味、東京並みの安心というか、パソコンやバッグを置きっぱなしにしていても大丈夫。これにはびっくりしました。僕はミラノサローネの大混雑の際に招待状を掲げた一瞬に財布をはじめポケットの中のものをすべてスリにやられた、などの苦い経験が多々ありまして、ヨーロッパを旅する時はかなり緊張するのですけれど、ルクセンブルクでは、安心して寛げました。シニア世代の旅のデスティネーションとして本当にお薦めですね。
Q:ああ、わかります。そういうテンションというかストレスとは無縁ですよね。私もパリからルクセンブルクに入るとホッとした覚えがあります。
M:それから、写真がお好きな方には是非、お薦めしたい。ルクセンブルク滞在中に友人が取り扱っているサングラスの撮影をしたのですけれど、街はきれいだし、どこで写真をとっても怒られない。僕、パリのマルシェでホワイトアスパラの写真を撮ったら、そこの八百屋の親父さんに「買いもしないで写真撮って!」とマジ切れで怒られたことがあるのですよ。でも、ルクセンブルクで写真撮っていいですか?と聞いたら、なんでそんなこと聞くの?というような反応で、美術館でさえ写真撮影OK。まさにインスタ天国ですね。とにかく街中きれいで、落ち着いていて、解放されていて・・・。小さな国なのに都心をちょっと離れると自然がいっぱいあるとても気持ちが良い環境で、お城もあって・・・。楽しかったです。
Q:それは何よりです。そういう素敵な体験の後で開催された昨年のLuxembourg Caféは大盛況でしたね。
M:はい、お蔭様で。日本橋の地元の人たちもとても楽しみにしていただいていたのですが、開催してみてルクセンブルク・ファンの多さにびっくりしました。メディアにも色々と取り上げていただきまして、「日本経済新聞で見て来たよ。昔、ルクセンブルクに駐在したんだ」、と地方からわざわざ足を運んでくださった方もいらっしゃいました。もうお客様をお迎えするテンションがすごく上がりました。それに、夏にルクセンブルクでお目にかかった方々もアンリ大公に随行していらっしゃったでしょう。既にお目にかかった方々にまた会える、というので「よっしゃー!ルクセンブルクをもりあげるぞー」と(笑)。
Q:うん、すごく良くわかります。で、今年につながった?
M:ミシュランの星に輝く、ルクセンブルクを代表するトップシェフのレナト・ファバロ氏が今年の9月に来日された時にうちのシェフ達との交流していただいて、色々教えていただきました。この交流で誕生したのがファバロ氏監修の「仔牛と鶏とキノコのパシュティト(クリームパイ包み)」です。旅行博の開催時期にあわせて期間限定で9月にHAMA HOUSEでお出ししたのですが、それだけではもったいない位、色々とインプットしていただいて。新たなコンテンツもたまっていましたので、前回Luxembourg Caféにきていただいたお客様やルクセンブルクに興味のある方々に再び、東京でのルクセンブルク体験をご提供したい、と企画しました。
Q:では、ファバロ氏監修のメニューが今回のLuxembourg Caféで楽しめるのですね!
M:もちろんです。その他、ルクセンブルクの味を取り揃えました。白ワインのリースリングは地元の料理に良く使われていて、とても美味しいのです。今回のメニューにはリースリングをたっぷり使った「オニオンクリームスープ」や「パテ・オ・リースリング」をご用意しました。100%現地の味が再現できたと自負しています。あと僕が10年以上感動しつづけているルクセンブルクのソーセージを使ったホットドックもお勧めです。もちろん、ルクセンブルクのワインやホットチョコレートもご用意しています。
Q:うーん、美味しそう!お料理を食べるだけでもLuxembourg Caféに行く価値ありですが、その他にお勧めはありますか?
M:人気インスタグラマーの保井さんがルクセンブルクで撮影した写真も展示して、ルクセンブルク感を高めていきます。ルクセンブルクの心のそこからほっとできる感じを皆様と共有したい、と思っています。
Q:「ほっとする感じ」ですか?それはHAMA HOUSEのコンセプトにも通じるものですか?
M:その通りです。HAMA HOUSEは「街のリビング」なのです。皆さんがご自分のリビングとして寛いでいただきたいと思います。僕にとっては日本橋・浜町という街をプロモートする際の拠点であり、HAMA HOUSE自体がメディアなのでもあるのですけれど。
Q:箱、ではなくメディアなのですね。これはプロモーターならではの視点ですね。まさしくLuxembourg Caféもルクセンブルクの魅力を発信するメディアとして機能することと思います。是非、皆様に来ていただいて、ルクセンブルクを楽しんで頂きたいですね。
M:はい、皆様のお越しをお待ちしています。
Q:今日はありがとうございました。
M:こちらこそありがとうございました。
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店舗の運営者、街のプロモーター、「場づくり」の名人・・・。水代さんの肩書を一言で言い表すのはとても難しいです。著作「スモール・スタート あえて小さく始めよう」(版元:KADOKAWA)もお出しになってご活躍の場が増々広がる一方ですが、活動の軸になっているのは、水代さんご自身の企画力とネットワークで「人を繋げる」、「街を元気にする」事。水代さんの感性に響いたルクセンブルクの魅力の一端を11月12日からスタートするLuxembourg Caféで共有したいと思います。 (文責:事務局)