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「人」コラム ‐ ルクセンブルクの横顔  第37回:ダフネ・モースさん(Ms. Daphne Mose) ― 前編

ある国を語る時、歴史や文化、生活風習に加え、その国の人々は欠かせないファクターでしょう。人との交流は、国の印象にも大きく左右しますし、人を知ることで、その国への理解も一層深まります。このコラムは日本とルクセンブルク、双方につながりの深い方々を順次ご紹介していきます。
今回は、ルクセンブルク大使館で8月中旬までインターンとして勤務したダフネ・モースさんのお話を伺います。

事務局(以下、Q):こんにちは。お時間いただいてありがとうございます。
ダフネ(以下、D):こんにちは。よろしくおねがいします。
Q:まずは、自己紹介をお願いします。
D: ダフネ・モースです。25歳で、ルクセンブルグ在住です。ルクセンブルク外務省のインターンプログラムで来日し、大使館でインターンをしています。実は、法律を専攻しており、9月から刑法専門の弁護士としてルクセンブルクの法律事務所に勤務します。
Q:弁護士さん!何故、大使館のインターンを?
D:そうですね、私はいつも色々な事を見聞きしたり、経験したりすることにオープンでいたいと思っています。外務省のインターンは昨年の10月に申し込んだのですが、その時はまだ、法律家としてのキャリアが首尾よく進むかはわかりませんでした。もし、法律事務所に就職が決まったら、他のフィールドで、例えば外交とか、働くチャンスは無くなると思いまして、駆け込みで(笑)。
Q:ラストミニッツ(笑)。
D:そうです(笑)。実は、3年前に上海で大使館のインターンをしたことがありまして、とても良い経験をしました。当時は刑法に進むか、企業法に進むかまだ決めていませんでしたが。
Q:当時も法律を専攻していたのですか?
D: そうです。高校卒業後、フランスのモンペリエで4年刑法を学びました。上海に行ったのはその時です。モンペリエの後はイタリアのトリノ(トゥーリンTurin)でヨーロッパ法を1年学んでから、昨年、ルクセンブルクに戻って、ルクセンブルクの法律を学びました。
Q: そんなに…。上海と東京のインターンで何か違いはありましたか?
D:そうですね…。上海は2か月で東京はわずか5週間でしたが、日本の大使館の雰囲気はとても良いです。より家族的というか。上海は各自個室だったのですが東京は大部屋で勤務していることもあるのかもしれません。総じて日本の方は親切ですよね、街で困っていると自発的に助けてくれようとするでしょう。英語が話せなくても、なんとか助けてくれようとしてくれる。
Q:中国では?
D:ほぼ、ありませんでした。皆、自分の事だけに集中している感じでした。
Q: 大使館のインターンの仕事について教えてください。
D:主にリサーチを担当しています。例えば2020年の東京オリンピックに関することとか、ブレグジットについて。労働法に関する調査も行いました。その他では大使館でのビジネス・イベントのお手伝いをしたりしました。面白かったのは日韓問題についての記者会見に出席してレポートを書いたり、大学のプラスチック公害についての講座を聴講したりしたことですね。
Q:日本は初めてですか?
D:そうです。
Q:ルクセンブルクと日本の違いを感じることはありますか?
D:日本はルールが多い、ということかな。
Q:ルール?
D:はい、路上でタバコを吸ってはいけないとか、電車の中では携帯で話してはいけないとか。ルクセンブルクではレストランは全面禁煙ですが、路上での喫煙はオーケーです。日本の人はマナーを大切にしますよね。朝の通勤ラッシュでもホーム上で電車を整然と待って、我勝ちに乗り込まずに降りる方を優先する。凄いな、と思いました。
Q:電車通勤ですか?
D:そうです。仕事の開始時間を9時15分からにしてもらえたので、混雑のピーク時を避けることができてラッキーです。いつも女性専用車に乗ります。女性専用車も日本独特のシステムだと思いますが、良いアイデアですね。より安心できます。今住んでいる所は、最寄り駅の池袋から徒歩20分なので、暑い日はちょっと厳しいですね。いつも駅の自販機で冷たいお水を買って、手や首筋をクールダウンします。
Q:すぐ飲まずに?
D:はい、飲む前に(笑)。自販機も便利ですよね。こんなにいっぱい自販機があるのもルクセンブルクとは違う点ですね。
Q:お住まいはアパートですか?
D:いえ、Airbnbで小さな部屋を借りています。リビングとキッチンは共有ですね。滞在期間が5週間だけなので、アパートを借りるのは難しいと思いました。次回、日本に来ることがあったら、新宿か渋谷に住みたいです。
Q:何故?
D:終電を逃してもタクシーで帰れる距離に住むと便利だから。上海はタクシー代が安かったけれど、渋谷から池袋までタクシーで帰宅すると大散財になってしまうでしょう。
Q:確かに。終電まで渋谷や新宿で遊ぶこともあるのですか?
D:はい、外食したり、バーに行ったりしますよ。 (以下、次号)

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金髪に青い目が印象的なダフネさんはとてもお洒落。お堅い法律(失礼!)のイメージとは一見大きなギャップがありましたが、非常に落ち着いた、ロジカルな話し方に法律家の片鱗を見ました。次回はナイトライフも含んだ日本での生活や将来の展望を伺っていきます。 (文責:事務局)